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テロ対策がオバマ大統領を悩ます 古森義久
アメリカで12月25日に起きた旅客機爆破のテロ事件は未遂だったとはいえ、衝撃的な波紋を全米に広げました。

その衝撃の背後にはオバマ政権の対テロ対策が甘すぎるのではという深刻な懐疑があります。そのへんについてコラム記事を書きました。

■オバマ大統領への巨大な難題
なんとも落ち着かない暗い空気が米国社会に新たに広がってきた。「クリスマスの攻撃」と称される12月25日のデルタ航空機爆破未遂事件が「テロリズムと米国」という重大な課題を国民一般に再び突きつけたからだ。

米国民や米国機を「アメリカだから」という理由だけで無差別に破壊しようとする試みに標的となる側がどう対処すべきかの自問が改めて巨大な不安の影を広げたのだといえる。

爆破を図ったナイジェリア国籍の青年が国際テロ組織、アルカーイダの意図を受け、本格的な無差別破壊活動に走ったことには疑問の余地がない。

しかも犯人側の最終の小さなミスがなければ、標的の旅客機は爆破され、300人近くの男女は確実に殺されていた。

オバマ政権側では犯人の父親から政府当局が事前に警告を受け、犯人が現金で航空券を買い、預ける荷物もゼロだったのに、対策がなにもとられなかったことが判明し、非を認めるにいたった。

ジャネット・ナポリターノ国土安全保障長官も保安措置の欠陥を認め、その改善への具体策を発表した。

だがいまの米国社会のテロ問題での不安は現政権の単なる「無能とか無理解」に対してではなく、「オバマ大統領がテロの脅威の本質を過小評価し、否定する」ことに対してだと、ベテラン政治評論家のチャールズ・クラウトハマー氏が指摘する。

事実、オバマ大統領は就任直後からまずグアンタナモのテロ容疑者収容所の閉鎖を決め、テロリストを自国の敵として軍事裁判で裁くことをやめ、一般の犯罪容疑者収容所に移す措置を発表した。

続いてテロ容疑者への「水責め」と呼ばれる「強化された尋問」を禁じ、逆にその尋問を実行した政府係官を刑事訴追する手続きをとった。

さらにはブッシュ前政権時代の「対テロ戦争」という概念に背を向け、テロは戦争という軍事行為ではなく、刑法違反という犯罪行為として扱う姿勢をみせた。

オバマ大統領のこの姿勢はブッシュ前政権の政策の強烈な否定でもあった。ブッシュ政権は2001年の9・11テロに対し、国家としての固有の自衛権を発動し、戦争を宣言した。

オバマ氏はそれに対しテロの原因をまず考え、テロの実行犯や容疑者の人権を重視するという構えだった。その構えの基礎は大統領選の最中にテロ対策に関連して、「私がイスラム世界に手を伸ばせば、彼らも理解し、米国の安全も高まる」と述べた相互理解への信奉にあるとされる。

だがブッシュ政権のディック・チェイニー前副大統領は今回のテロ未遂事件の後、「オバマ大統領は対テロ戦争に直面しているのに、テロリストに低姿勢をとり、米国民なみの権利を認めれば、戦争がなくなるというふりをしている」と酷評した。

ブッシュ政権時代の8年間近くには、米国内でテロが一件も起きなかったという自負をちらつかせる論評だった。

一連の世論調査では、オバマ政権の対テロ政策へのこの種の批判や不安は、共和党や保守派だけには限られないことが証明されている。

テロへの対応はテロの本質をどうみるかに当然、発する。その背後には、人間をどうみるかという究極の課題さえ浮かびあがる。

話しあえば、合意できる。理解を示せば、衝突は遠ざかる。オバマ氏の思考はそんなふうなのだろう。だがその思考が現実の試練にさらされ、国内テロ対策が医療保険改革、アフガニスタン、イランなどと並んで、オバマ大統領への巨大な難題となってきたようだ。

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| 古森義久 | 10:58 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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