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筋金入りの反共タカ派のゲーツとオバマ 宮崎正弘
共和党員なのにオバマ政権の国防長官=ロバート・ゲーツに注目。F22プロジェクトを毀し、ロシアから武装ヘリを導入。軍需ロビィは怒り心頭。

日本からみれば大胆にして明白な力の信奉者、頑固親父のイメージが付帯する。

なにしろ日本が次期ジェット戦闘機の主力と考えてきたF22の開発をぷいと止めるとゲーツ国防長官は言いだし、日本訪問のおりは沖縄基地問題の決着遅延で怒りだし、昼飯会をボイコットした。荒くれの乱暴者という印象が膨らんだ。

ところが、このロバート・ゲーツ国防長官、米国で甚だ評判が良いのである。

理由は? F22開発中止で激怒したのはメーカー、軍需産業とそれに絡む議員、ロビィスト団体くらいで、現場の声はアフガニスタンにおける無人攻撃機「ドロン」の増加、タリバンは二千メートル級の山々に展開するので、米国製の武装ヘリ「ブラックホーク」よりもロシア製の「ミルハインド17」のほうが効率的と分かるや、さっとロシアに導入を打診する。ゲーツは自らもミルハインドに試乗して性能を確かめる。

軍需産業から見れば「愛国」の立場が疑わしいが、「ソ連はムジャヒデンとの闘いの教訓から改良した武装ヘリだから」と言い、また「無人攻撃機を有人とした場合はひとりパイロットの要請に100万ドルかかる」と効率を強調した。

F22のみならず海軍が要求した巡洋艦の新造予算要求を蹴り、情報収集機の新型開発予算もばっさり斬り、反対した海、陸の幹部を更迭するという荒技、いきり立つ軍需産業議員等は議会で、ゲーツの予算案に反対する動きだが「オバマ大統領に、そのときは拒否権発動を進言している」(英誌『エコノミスト』、2月6日号)。

履歴から類推するとゲーツは主としてCIA情報畑を歩んできているので、ベトナム、アフガニスタン、イラク情勢に精通している。

とくにCIA時代のゲーツは、パキスタンのハク大統領を通じてムジャヒデンにスティンガー・ミサイルなど大量の武器を供与した。そのムジャヒデンがいまやタリバンとして米国の刃向かっており、かれらの指導層の何人かの特徴をゲーツは掴んでいるのだ。それが現場に精通する現地司令官とも気脈がある理由だろう。

▲アイゼンハワーとマーシャルを尊敬するという

そして先週、ペンタゴンが議会へ提出した「国防予算」は6600億ドル。ドロンの購入予算は三倍に、膨大に金のかかる開発予算がばっさりカット。たとえばF35ステルスは実験失敗などを理由にロッキード・マーチンに対して6億五千万ドルの開発予算を抑制させる。

ゲーツは06年、前任ラムズフェルド国防長官の辞任に伴い、ブッシュ・ジュニアから指名された。そのまま政権が民主党に替わっても、引き続き「居座り」(じつはオバマが留任を要請した)、昨年師走にはオバマが直々にホワイトハウスに呼んで「少なくともあと一年、やって欲しい」と要請した。

ゲーツはれっきとした共和党員、筋金入りの反共タカ派。だから全米マスコミとリベラル派議員から、いつも目の敵にされた。

出発はフォード政権の安全保障補佐官からでカーター政権ではCIAのソ連専門分析官としてつかえ、レーガン時代はCIA副長官。パパ・ブッシュ時代にCIA長官となった。議会はゲーツの指名を吊し上げ大会として、なんと七週間もゲーツの指名を延期させる挙にでた。

したがってゲーツは議会とマスコミ対策に狎れ、政権をあやつる術を体得したかのように独特の動きをするという。

第一にヒラリー国務長官と週に一回はミィーテイング、最低でも毎月一回は昼飯をともにする。ラムズフェルド前長官がコンドレーサ・ライス国務長官と昼飯をともにしたことは一度もない。

そもそも国務省予算の十倍以上の予算規模、人員に至っては百倍以上というアメリカ最大の組織を動かし、国防長官専用機は核戦争がおきても上空で戦争司令ができるように設計されている。

そうしたパワフルな組織の頂点にある人間が、国務省との関係をもっとも重視するのは、アメリカ外交は軍事と外交がセットだからである。

「かれは問題解決にすぐれ、フィクサーたることに生き甲斐を見いだす。だがフィクサーとはモラルを伴わず、所詮、かれは哲学者たりえず、理念を実現させるための政治的指導者にはなり得まい」(『TIME』、2月15日号)。

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| 宮崎正弘 | 19:12 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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